数年前、IT企業は新3Kと言われ「キツイ」「帰れない」「給料が安い」が、業界全体の実態だと揶揄されてました。一時期は、学生達の就職先から敬遠されていた時期もあったかと思います。果たして今でも、そうなのか? IT業界で勤めているからこそ分かる実情をお話しします。
顧客のサービスに左右される労働時間
IT企業の中でも特に、SIer(システムインテグレータ)と言われている会社の人達は特に忙しいですね。働き方や労働時間は顧客の都合、特にシステムの都合に左右されると言っても過言ではありません。
SIerは、顧客のITシステムの構築や運用を請け負っています。
一度、請け負ったとなれば、顧客のITシステムのサービス開始に向け、ソフトウェアの開発をしたり、コンピューターの導入をするわけですが、スケジュールが遅延したり、ソフトウェアのバグ(障害)があると、現場は戦場と化します。エンジニアはスケジュールに間に合わせるために、夜も土日も休めない事はあります。
私も深夜0時に会社で仕事をしている時に、お客様のシステムダウンで呼び出された事が何度かあります。
また、システムが無事サービスされた後の運用になっても、システムダウン等の大きな障害が起こると、自分や家の事よりも、システムの復旧を優先せざるを得ません。
この業界は顧客のスケジュールもそうですが、「障害」に自分の予定が左右されてしまうのです。
まぁそれでも、数年前よりも、労働時間においては改善されていますよ!
なので時間的に「キツイ」はありますが、「帰れない」は緩和されていますよ。
働き方改革を積極的に推進
近年はIT企業はブラックというイメージを払拭するために、残業規制が厳しくなってますし、「働き方改革」が進んでいるのもIT企業と言えます。
ここ数年のIT企業が推進している働き方改革ですがざっと上げるとこんなところがあります。
と、いう様な「働き改革」のおかげで、残業は厳しく制限されています。サービス残業にも厳しい目が向けられているため労働時間の管理は本当に厳しいですよ。
また、2020年のコロナ禍の中、IT企業の人達はいち早くテレワークに移行し、取引先とのミーティングも大抵はオンラインで実施可能でした。
顧客にテレワークを提案しているIT企業の人たちが、テレワークをできないっていうのは恥ずかしいですよね。
こういった働き方改革もあり、やはり「帰れない」は緩和しています。
業界特有の構造上の問題はある
IT業界って複雑だなぁって思う事があります。
簡単にいうと、多段になっているのです。
顧客からITシステムを包括(全体)で受注する元受けの大手IT企業、そこから一部のシステムを下請けの中堅のIT企業に委託し、下請けはさらに中小のIT企業に委託をする構造になっています。
そこに輪をかけて複雑にしているのが、「派遣」です。大手IT企業でも顧客のITプロジェクトを受注して、プロジェクトメンバーが集められるのですが、2割の正社員に対して8割の派遣社員で構成される事が珍しくありません。それは、派遣社員の方が時間単価が安いからです。
顧客のITに対する投資もコストカット等で年々減少傾向にあります。また、IT企業同士の競争の激化しているため、値段のたたき合いになる。だから、プロジェクトの構成メンバーに時間単価の安い派遣社員をいれた方が、プロジェクトは黒字が大きくなるわけです。
IT業界は給与は決して安くはない業界なのですが、それは大手だけの話です。単価の安い人や、単価の安い下請けの企業を使えば、利益は大きくする事ができるのですから。
IT企業に就職するなら「絶対!」元受けになれる様な、大手に就職する事をお勧めします!
給料は正直、入社する会社次第です。